20代の女性に急増のクラミジアは自覚症状が少ないため放置されやすい
若い世代(10代・20代)の性活動が奔放になり、複数の相手と性的関係を持つ男女が増えてきたことに伴い、クラミジアの感染者は年々増加しています。現在は、かつて感染者数が最多だった淋病を抜いてワースト1となっています。
病原微生物のクラミジア・トラコマチスは、人の細胞に潜り込んで、膜に包まれた形で分裂・増殖を行います。そして、約48時間~72時間経つと、膜から飛び出して周囲にばら撒かれ、新たに感染していきます。
クラミジアは主にセックスで感染します。女性は最初に子宮頚管炎を起こし、気付かないまま放置していると、子宮内膜炎、そして卵管炎と段々と炎症の部位が上に上がっていきます。その結果、卵管が癒着して不妊症になったり、子宮外妊娠などを起こすこともあります。また、出産時の産道感染で、赤ちゃんが肺炎や結膜炎を発祥する危険もあります。
男性はクラミジア性尿道炎を起こし、治療を受けないでいると、前立腺炎や男性側の不妊の原因の一つである副睾丸炎を併発する恐れがあります。クラミジアで問題なのは、感染しても自覚症状が現れない人の方が多いため、病院で治療を受ける頃には病気が重度になっていることが少なくないということです。
男性の場合、感染後3週間ほどで、尿道から透明の分泌液が少量出たり、軽い排尿痛や、尿道の軽い不快感や痒みを感じる人もいます。女性では、おりものの異常、下腹部の痛み、不正出血などで診察を受け、医師からクラミジアの感染を知らされることが多くなっています。
セックスパートナーの男性が感染者の場合、相手の女性の約60%もクラミジアに感染しており、パートナーが尿道炎になって初めて、自分も感染していることを知らされる女性も少なくありません。
クラミジアの治療は、マクロライド系、キノロン系、テトラサイクリン系の抗菌薬を使用します。淋病など他の性感染症と合併していることも多いため、治療の前には同時に検査を行うことが重要です。