性器の不快感、発熱、足の付け根のリンパ節の腫れなどが性器ヘルペスの症状
性器ヘルペスは単純ヘルペスウイルスに感染して起こるSTD(性感染症)です。ウイルスには代表的なものとして1型と2型があり、1型は主に唇や口の中、顔などの上半身にセックスに関係なく感染します。
2型はセックスによって感染し、性器、陰嚢、会陰(膣と肛門の間)、太ももの内側などの下半身に、水疱ができたり、それが潰れて潰瘍ができたりします。
単純ヘルペスウイルスには、①神経を伝って性器から仙骨の神経節に潜り込み潜伏する、②そして、抵抗力が低下すると再発するという大きな特徴があります。
一昔前は、誰でも子供の頃、知らない間にこのウイルスに感染して、自然に治っていることが多く、90%以上の人がウイルスに対して免疫を持っていました。しかし、現代では免疫を持っていない人が30%程度いるとされており、そういう人が感染する急性型性器ヘルペスの患者が増加しています。
急性型性器ヘルペスは感染後2日~10日くらいの潜伏期間を経た後、外性器の不快感、かゆみ、発熱、倦怠感を感じ、足の付け根のリンパ節が腫れ上がったりするなどの症状が現れます。そして、外性器、陰嚢、会陰、太ももの内側などに水泡や潰瘍ができ、激痛が走ります。女性の場合は痛みが特に強く、排尿・排便や歩行すら困難になることもあります。この病気は、治ったと思っても、ウイルスは引き続き潜伏していますので、過労やストレスなどがきっかけで再発します。
性器以外の器官に感染する場合としては、出産時の母子感染で、生まれたばかりの赤ちゃんに感染し、重い病気になることがあります。しかし、感染リスクが高いと医師が判断した場合には、帝王切開で、赤ちゃんに感染させることなく出産することもできます。
性器ヘルペスの治療は、ヘルペスや帯状疱疹によく効く「バラシクロビル」の内服、あるいは「アシクロビル」の内服、点滴、外用で行います。再発を繰り返す患者さんには再発抑制療法を行います。