淋病に感染した女性の半分は無症状のため治療が遅れる心配があります
淋菌は、コーヒー豆状の細菌がペアになっているが特徴です。淋病(淋菌感染症)は、男性よりも女性に多く、1回のセックスで約80%(男性は約20%)がうつります。
性器に淋菌が感染した場合、男性は尿道炎を起こし、放置していると副睾丸炎を起こします。女性は子宮頚管炎を起こし、気付かないまま進行すると、子宮内膜炎や不妊症の原因となると卵管炎を発症するリスクがあります。さらに、骨盤腹膜炎や腹膜炎になることもあります。
淋病の症状ですが、男性の場合は、感染後2日~10日たつと、尿をした時に激痛が走り、ペニスの先から白あるいは黄色の膿のような分泌物が大量に出ます。分泌物で下着が汚れることもあります。
女性の場合、感染後2日~5日くらいでオリモノの臭いや色の異常、尿道口の不快感や痒み、排尿痛が起こります。しかし、女性の感染者の約半数は無症状のまま進行するとされているので、注意が必要です。
これらの症状が該当する方は、男性は泌尿器科、女性は産婦人科で診察を受けることが大切です。セックスのパートナーがいる場合は、知らずに相手も感染している可能性があるので、包み隠さずその旨を伝えて、一緒に医療機関を受診しましょう。どちらか一方だけが治療しても、「ピンポン感染」といって、サイドパートナーから淋菌を移されたり、移したりするだけです。
近年はオーラルセックスやアナルセックスを行うカップルが多いため、淋菌が性器以外に感染する例が増えています。この場合、咽頭炎や直腸炎、結膜炎などになります。女性は膣口と肛門の距離が近いので、淋菌を含んだ膣からのオリモノが肛門にまわり、自己感染を起こすこともあります。
直腸炎は女性の多くで無症状ですが、排便時にトイレットペーパーに膿や血が付いていて気付く人もいます。咽頭炎も無症状の人が多く、喉の痛みや赤くなったりするなどの症状で気付く人もいます。
近年は抗菌薬が効かない薬剤耐性菌が増加していることに伴い、淋病の治療は注射用抗菌薬「セフォジジム」、「セフトリアキソン」、「スペクチノマイシン」を使用するのが基本です。注射薬による治療が困難な場合は、経口薬「セフィキシム」が使用されます。