膣トリコモナス症は自覚症状が少ないため、次から次への感染します

鞭毛虫類に属するトリコモナス原虫によって引き起こされる炎症性の疾患であり、膣・外陰を中心に発症するSTD(性感染症)です。不特定多数の異性とのセックスが感染の大きな原因となりますが、セックス以外にも衣類、便器、浴場などでも感染しえます。

性交後5日~1ヶ月間程度の潜伏期間を経て発症し、悪臭のある黄色っぽい、泡のようなおりものが増加し、膣が赤くなります。外陰部に軽い痒みを感じることもありますが、痛みなどの自覚症状はないため、感染を知らないままでいるとセックスパートナーも感染してしまいます。

男性の場合は包皮炎、尿道炎、前立腺炎、副睾丸炎などの原因となり、女性の場合は、膣炎のほかに膀胱炎、まれに腎盂炎の危険もあります。膣トリコモナス症の確定診断は、膣分泌液を採取して顕微鏡でトリコモナス原虫を検出することで行います。

治療は抗原虫薬、抗菌薬である「メトロニダゾール」または「チニダゾール」を経口投与しますが、妊婦の場合は膣錠を用います。トリコモナス原虫は患者自身の膣内だけでなく、パートナーを含め、尿路系、直腸内などにも生息している可能性が高いため、原則として治療は両者に対して行います。

ページ先頭へ戻る